過去3回、香川県に新しく出来るものを紹介してきました。
新しく出来るものがあれば無くなっていくものもある。
今回はそんなお話です。
それは香川県の予算からお話が始まりました。
「旧香川県立体育館」の解体予算が正式に県予算に計上され、解体工事の入札が行われました。
「旧香川県立体育館」は東四国スバル木太店のほど近く、高松競輪場の隣に建物があります。
その特徴的な建造物は、東京都庁を設計した世界的建築家の丹下健三の作品です。
大変貴重な建築物のため、世界中から視察が訪れる建築物なのです。
このような事態に、地面に根を張った私の重い重い腰も動かざるを得なかったのです。
解体される前にこの目に焼き付けておこうと思い旧香川県立体育館を訪れました。
旧香川県立体育館の特徴はなんといってもその形です。
吊り天井構造の独特な形は「和船」を象徴した形と言われており、同じく丹下健三代表作「国立代々木競技場」にもつながる建築物として大変貴重な存在なのです。
旧香川県立体育館は今の建築には無い存在感があります。
そんな建物が住宅街の向こうにドンとそびえ立つ姿はなかなか目にすることができない光景だと思います。
横から見ると屋根の張り出しがとても大きい事が分かります。
1964年建造の建物でここまでの長大スパンの張り出しはかなりの技術が必要だったに違いありません。
この大屋根が体育館の入り口にかぶさるようにあり、出入りする人を雨から守る役割も担っているのです。
屋根は曲線を描いており、まだ日本に高層建築が出現する前の1964年においてこのような建築物が建てられたという大変貴重な歴史遺産なのです。
人気の無い建物の周りを歩くと、雨水をためる防火水槽の水面(みなも)が船の胴体にあたる部分に反射し、あたかも水上を走る船のように設計されている事が分かります。
このような貴重な建築物も、耐震性の問題や維持管理費の問題などで永遠に存在させる事はできないのです。
とても残念ですがそれが現実です。
この建物を目にすることが出来る期間はそう長くありませんので、ぜひ旧香川県立体育館に足を運んでみてください。
周辺にコインパーキングが複数ありますので、簡単に車で訪れる事ができます。
旧香川県立体育館
住所 香川県高松市福岡町2丁目18ー19
住宅街に隣接していますのでマナーを守った見学をお願いいたします。