香川県は全国でも有数のうどんの産地であり消費地であります。
香川県民が「さて、やるか!」と言った場合、それは仕事をするのかうどんを食べるのか確かめた方が良いくらいうどんを食べます。
お近くの香川県民が「さて、やるか!」と言った場合確認してみて下さい。
香川県には当然数多くのうどん屋さんがあり、行列ができるほどの人気店も数多くあります。
人気店も捨てがたいのですが、個人的には生活に密着したうどん屋さんがとても好きです。
今回はそのようなお店にうどんを食べに行きます。
今回のうどん屋に行くには地元の生活道を走ります。
車で普通に走っていると見つからない立地です。
こういうお店がとても好きです。
到着しました。
奥に見えるのが今回のうどん屋さんです。
三谷製麺所。
生活に根差した店構えがとても良いです。
到着したのは開店時間ぴったり。
お店に入ると店主のおじいさんが一人。
「もういけますか?(もう食べる事はできますか?)」
「ちょっと待ったら上がるけどどうするな?(少し待ったら新しくうどんが茹で上がるけどどうしますか?)」
先に茹で上がったうどんを出せるのに、よりおいしいうどんを案内する心の優しさ。
少し待つとうどんを渡されました。
渡されたうどんはこのテボでキャッチします。
県外の人なら「これでどうやって食べればいいのか!?」と固まるだろう。
しかしここは香川県、うどんに対してはいつも以上に冷静な判断が求められるのです。
一瞬の判断が食べる、食べられないを分ける。
もちろん香川県民なのでこの状況でも焦らない。
銀色の蓋の下にうどんをゆがくお湯が隠れている。
蓋を開け落ち着いてうどんをさっとゆがくのだ。
店主のおじいさんも安心した表情になる。
今回はちくわの天ぷらを追加して、出来上がったうどんがこれです。
派手さはありませんが、生活に密着している感があり輝いて見えます。
そしてこの器も最高です。
大昔の給食で目にした事があるような、光が透き通るあの樹脂製の容器です。
たまらん。
設置されているエアコンはインテリアに馴染むブラウンカラーです。
この日は暑かったのですが、開け放たれた扉から風が通り快適でした。
そのためエアコンは稼働していませんでした。
座った席にはカレー粉が置かれていました。
「カレー粉で食べさせるうどん屋は初めてだな。これは新しい味に出会えるチャンス!」
容器の蓋がちょっと割れているところに年季を感じます。
実家のような雰囲気がとてもいい。
カレー粉で食べるかけうどんは一体どんな味なのか?
そう思いながらカレー粉をふりかけると、中身は七味唐辛子でした。
世界初のカレー粉に偽装した七味。
もしうっかり本当にカレー粉が出てきても誰も怒らない、ここはそういう世界なのだ。
開け放たれた扉から見えるお店の裏ではネギが育てられていました。
うどんの上に乗っているのは、小さな裏庭で育てられた自家製ネギだったのだ。
そんなのどかな雰囲気を楽しみながら「時が止まればいいのに」と思ったのもつかの間、ごちそうさまでした。
食べに来た地元のおじいちゃんと話す、店主のきつめの讃岐弁も実家感があってとても良かったです。
うどんの代金は合計で300円でした。
食後に支払いを申告するスタイルです。
メニューが手書きなのが何ともいえず良いので写真を撮らせてもらいました。
「このご時世なんで、すぐ値段変わるよ」
との事です。
いつまでも続いてほしい歴史を感じるお店。
皆さんもコロナが落ち着いたら食べに行ってみてください。