東京から濱田さんがスバルに来てくれてしばらく経つある日、
濱田さんが悩みを打ち明けてくれた。
「どれが讃岐うどんか分からないんです。」
彼の悩みはこうだ、
「うどん屋に行っても『讃岐うどん』と書かれたメニューが無い!」
そこで我々は彼のために立ち上がった。
「そうだ!うどん屋へ行こう!」
スバルがお休みのある日、
XVに大人3人が乗ってうどん屋を案内する事になりました。
XVはコンパクトなボディサイズながら
大人が4人が乗っても広々した室内空間なので、
とても実用性が高いのが魅力です。
まずは西の雄「須崎食料品店」へ。
車は人口の少ない山間部にたどり着く。
ここはご覧の通り看板は出ていない。
そして裏路地にあるという最高の立地条件にある。
「えっ!?ここがうどん屋ですか!?民家じゃないですか!」
大都会東京から来た彼は大変ショックを受けた。
須崎食料品店の名の通り、地元密着の歴史ある食料品店です。
ちょっとレトロな雰囲気がたまらなくいいんです。
田舎の日常がここにはあるんです。
今では失われつつあるこの空気感は
文化財として保存してほしいくらいですね。
そのお店の片隅がうどんコーナーになっており、
メインは食料品店、うどんはあくまでおまけというお店です。
お店というか人の家に上がってうどんを食べさせていただく、
という状況なので邪魔しないように注意を払います。
建物の一画の土間のような場所がうどんコーナーです。
黒猫も我が物顔で歩く店内は、
永遠に残ってほしいたまらない光景です。
ここでうどんを注文します。
私「おばちゃん、ぬくいんしょう。」
濱田「ぬくいんしょうって何ですか!?うどんじゃないんですか?」
私「いいから!」
濱田「えっ!?じゃ、じゃぁ同じのを一つお願いします。」
実家の台所のような雰囲気がたまらないうどんコーナーには
卵やネギ、割り箸がズラリ並んでいます。
注文したうどんを受け取ると、ここでネギとダシ醤油を自分でかけて
外に出ます。
濱田「外に出るんですか!?」
「うん、外」
須崎のうどんは昔ながらの太麺ですが、
店内で粉から手打ちですのでこの輝き。
外で食べるので味は格別です。
料金は食べ終わったら自己申告します。
私「ごちそうさまでした、ぬくいんしょう。」
店「200円な。」
濱田「先払いじゃないんですか!?自己申告ですか!?」
うどんはうまい、しかし東京から来た濱田さんは困っていた。
「讃岐うどんの本場でうどん屋に行こうと思ったら
とんでもない奴に捕まってしまった・・・。」
須崎のうどんに満足した我々は走りに走って山の中にいた。
ここは徳島県までもうわずかという山の中。
山と山の間の谷あいに民家がわずかにある地域。
濱田「関東平野には見渡す限り山が見えないんです。
たまに遠くに富士山が見えるくらいですかね。」
そこに現れるは行列。
濱田「こんな所に行列が!!」
それもそのはず ここは標高数百メートルの山の中。
店らしい店も無い場所です。
そんな場所に県外ナンバーの車が沢山終結する場所がある事に驚きです。
「ここは谷川米穀店という米屋なんよ。」
「米屋!!うどん屋じゃないんですか!?」
「うん、米屋」
濱田さんは混乱していた。
米屋がなぜうどんを提供しているのか。
でもここは香川県なので米屋でもうどんが食べられるんです。
山深い場所なのにうまいうどんが食べられるんです。
店「なんにすんな?」
私「ぬくいんしょう」
濱田「だからぬくいんしょうって何ですか!?同じの一つ下さい!」
谷川のうどんは細麺です。
麺にネギをかけて醤油をたらすシンプルな構成ですが、
なんともなめらかなのど越しがたまらないおいしさです。
これでたったの150円という価格にも驚きです。
朝から2杯もうどんを食うという人生初の経験をした濱田さん。
しかしこの後もうどんが待ち受けている事を彼は知る由も無かった。
「いや知ってますよ!うどん食べに来たんですから!
それよりこの近くの三島製麺に一度来たことがあります。」
「えぇーーっ!!」
後編へ続く。